ランニングによる膝の痛み vol.2
以前の更新より日にちが空いてしまい、申し訳ございません。
今回は、前回の続きでランニング時の膝の外側の痛みについての治療についてお話いたします。
なお、治療者の方へ向けた内容になりますので、専門用語が増えますのでご了承ください。
○治療ポイント
治療の目安として、確実に押さえておきたいところは「大腿二頭筋」「殿筋群」になります。
「大腿二頭筋」
この筋肉への治療は欠かせません。治療穴としては、阿是穴(圧していたいところ)、浮郄穴、委陽穴が目安になります。(臨床的には教科書の取穴よりも外側に取る。)
１寸３分(40mm)以上の長さの鍼を使用。浮郄穴への刺鍼では大腿二頭筋にあてることで鍼響が刺鍼している部分や大腿後面全体に広がります。委陽穴への刺鍼では、腱への刺鍼なるため、響きが強くなりますが、痛い部分に当たっているという感覚が得られやすく効果的です。
なお、阿是穴として膝窩外側の大腿二頭筋腱への直接的な刺鍼も有効になります。
「殿筋群」
主に大殿筋、中殿筋、小殿筋がメインになります。
殿筋群は大腿二頭筋との関連も高く、チェックが必要な筋肉になります。治療穴としては、阿是穴、環跳穴、居髎穴などが目安になります。
１寸６分(50mm)以上の長さの鍼を使用。大殿筋や中殿筋は圧痛のあるポイントへ刺鍼をすることで十分に鍼響を得ることができます。小殿筋は深部に存在するため、深い刺鍼が必要になります。環跳穴から皮膚面に対して垂直に刺鍼していきます。鍼響が股関節の深部から、下肢外側に広がるような感覚があります。深度は40mm以上必要であることが多く、それよりも浅い部分で鍼響があるようなら筋膜張筋に当たっている可能性が高いです。その場合は刺鍼転向法などで角度を変えてみてください。
☆その他にも筋筋膜の連結(アナトミートレイン)の考え方に基づけば、下腿三頭筋への治療も必要になりますし、大腿二頭筋の拮抗筋などを考えれば腸腰筋への治療が必要になります。しっかりと負傷時の状況を聞き、原因を探ってから治療を進めていきましょう。
○最後に
この症状は、マラソンに向けて日々練習されている方が発症しやすく、一度発症すると治癒までしばらく時間がかかってしまい、その期間は満足に練習ができず、フラストレーションが溜まります。治療者はその期間にできるトレーニングやストレッチ、少しでも走ることができるようになってきたら、ランニングフォームの注意点や意識してもらうところなどを少しずつアドバイスしてあげてください。
そうすることで、練習できないフラストレーションを緩和できる上に、再発しないようにしたり、より良いランニングフォームを獲得できることにもつながりますので、治療で治すだけでなく、患者様のその後のことまでを考えてケアできると良いですね。
追記
なお、これは臨床で効果が有効であると感じたものについて、書いております。私見が混ざっている部分も多々ありますので、ご了承くださいませ。
